丸一は、創業以来、水廻りのパーツからシステムの製造開発という分野において、人がより先進的で快適な生活を営めるよう、100%安心できる製品づくりに邁進してきました。その「ものづくり」精神は、今もなお社員一人一人に受け継がれており、試行錯誤を重ねながら、時代が求める数々の製品を世に送り出しています。今回、2015年度のグッドデザイン賞を受賞した「マルカチットシリーズ」が、どのようにして誕生したのか、製品開発に携わった社員たちに話を聞きながら、丸一の「ものづくり」に対する情熱に迫ります。
「誰が、どのようにやっても上手く配管できる商品をつくりたい。開発の想いはそこに尽きます」。開発研究所係長、木村裕史は開発当初を振り返ってそう語る。一般の排水管継ぎ手は、ナットで締め付けていく構造だ。締め付けがゆるいと水が漏れる。締め過ぎると壊れる恐れがある。マルカチットなら、ガス栓のソケットのように、ただ排水管同士をカチッと差し込むだけでいい。木村は言う。「誰もが施工できるということは、ミスが起こりにくいこと。熟練の職人さんにも喜ばれるはずです」。
企画室 係長 木村裕史(平成14年入社・理学部卒)
排水管の施工は、作業が終われば必ず検査部隊が現場を回る。その作業が大幅に低減できるのも見逃せない。「ナットの締め付けのチェックがいらず、正しく接続されているかどうかが目視で分かる。それがどんなにラクなことか」。そう胸を張るのは、開発研究所・係長の笹川知久。「建物が完成すると、配管ひとつひとつ、水を張って水漏れ検査をするのですが、その検査が手早く済ませられる。検査の時間と手間というコストが大きく削減できることも、マルカチットの大きなメリットなんです」。
開発研究所 係長 笹川知久(平成8年入社・工学部卒)
排水管継ぎ手は、ビル、マンション、住宅、どんな建物にも数多く使われているもの。すべてがネジ止めからマルカチットに置き替われば、建築の常識が変わるに違いない。しかし木村は、さらにその先を見据えているという。「なかなか実現できない排水廻りのDIY化ですね。ホームセンターにマルカチットがずらりと並び、一般ユーザーが自分で配管できる日を実現したい。そうなれば…」と木村は目を細めながらこう語った。「キッチンの位置を自由に動かせる住まいも、夢ではなくなるのです」。
少しでも人が間違わないような製品を、というのが会社の基本方針だと、木村も笹川も口をそろえる。わずかなミスが建物全体の信用に関わる、そんな排水管を扱っているのだから。「使う人の作業工程を増やすものづくりをすれば、図面は引きやすくなる。ですが、それは許せない」と木村は言う。笹川も想いは同じだ。「使う人が考えなくても済むようにするぶん、開発する側が頭を使わなくてはならない。でもそれが、今までの価値観を超える商品につながると信じています」。
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